デカンショ節は丹波篠山市だけのものではない？
兵庫県の丹波篠山市の夏の風物誌とも言える丹波篠山デカンショ節。この民謡が、山を超え、谷を超え、海を超えた香川県で、今も激しく熱く愛されて歌われていることをご存知でしょうか。
観音寺第一高等学校のデカンショ節
香川県立観音寺市の観音寺第一高等学校で9月上旬に開催される文化祭「観一祭（かんいちさい）」。この観一祭では、高校3年生男子の有志がデカンショ節を歌う圧巻のパフォーマンスがあります。このデカンショ節は、3年生女子による「民謡踊り」および定時制生徒の制作による「壁画」の展示と合わせて、文化祭のメインイベントとして披露されます。丹波篠山のデカンショ節は、浴衣を来てゆったりと踊ることに比べて、観音寺第一高等学校のデカンショ節は大きく異なり、着物や袴に下駄を履き、応援団のように大きな声をあげて激しく踊っています。なお、地元の貸衣装屋さんでは、9月の文化祭に向けて、5月のゴールデンウィーク前からレンタルの受付をするなどという気合いの入りようです。ここ最近では2019年9月にも第71回となる観一祭が開催され、デカンショ節も披露されたようです。
同校学祭の名物である『でかんしょ』踊り用衣裳レンタル開始しました！
昨年は5月9日よりでしたが今年はＧＷ前からレンタルを開始させて頂いております！！基本セット内容(着物･袴･下駄･ハチマキ&タスキ)で税込10,500円(当日の着付込み)
http://blog.livedoor.jp/cpiblog00165/archives/51800382.html
なぜ観音寺第一高等学校でデカンショ節が歌われるのか
では、なぜ、丹波篠山から離れた香川県観音寺市で、デカンショ節が歌われるようになったのでしょうか！？YouTubeの動画をじっくり見ると、校長先生は以下のように語っています。
いよいよ三年生有志におけるデカンショが始まります。デカンショは1952年、当時の観一生が、戦前の旧制高校の学生の服装で、バンカラと呼ばれた服装を真似て、着物に袴、学生帽を被り、文化祭の応援合戦で歌い踊ったのは始まりです。歴代の先輩が歌い踊ったデカンショ節を歌えることはとても嬉しいことです・・・・
YouTube動画より抜粋
ちなみに旧制高等学校（きゅうせいこうとうがっこう）とは、高等学校令（1894年および1918年）に基づいて設置され、1950年まで存在した日本の高等教育機関です。
明治時代、全国で愛唱されたデカンショ節
観音寺第一高等学校の校長先生によると1952年からでデカンショ節を歌い始めたということですから、旧制高等学校の制度が終わった1950年の直後から歌い始めたということになります。
なお、デカンショ節は明治時代中期には丹波篠山や、観音寺市だけでなく、全国的に広く愛唱されていたようです。明治時代は1868年10月23日から1912年7月30日までなので、デカンショ節が全国に広まったのは、ちょうど旧制高等学校の時期に流行ったということです。おそらく全国のあちこちの旧制高校でデカンショ節が歌われていたのでしょう。観音寺第一高等学校で歌われるデカンショ節は、その当時の雰囲気を伺い知れる貴重なものかもしれません。
歓一祭とデカンショ祭は同時期に始まった？
ちなみに、丹波篠山デカンショ祭は2019年に第67回目が開催されました。ということは67年前の1952年ごろに第一回目のデカンショ祭りが開催されたのではないかと考えられます。つまり、デカンショ祭も、観一祭のデカンショ祭のパフォーマンスも、ちょうど同じ時期に始まったのではないかと考えられます。
歓一祭とデカンショ祭の様子
何はともあれ、百聞は一件にしかず。丹波篠山デカンショ節とは一味も二味も違ったデカンショ節の踊りと歌詞をご覧ください。
いかがですか？熱すぎるデカンショ節。気迫のあふれる声は感動すら覚えます。オリジナルの歌詞が多くあることも面白いですね。
第69回 観一祭 デカンショ節
1 デカンショ デカンショで半年暮らす 後の半年は 寝て暮らす
2 デカンショ デカンショの下駄は高い いつものかっこよさ 5割増し
3 加藤杯 シュートをバンバン決めたよ これで明日から モテ期来い
4 フォークダンスで 薔薇を渡す 散ってしまった 薔薇と恋
5 質実剛健 歴史を謳う 高き矜恃 ここにあり
6 観一 あるある 宿題多い いくらやっても 終わらない
7 世間を 騒がせたドナルド旋風 我ら合格旋風 巻き起こす
8 藤井聡太が 29連勝 僕ら受験で まず1勝
9 観一教員 出産ラッシュ 新たな命に 幸よあれ
10 イチロー 世界一安打記録 俺らは一浪を 避けてやる
11 大林監督に 感動したよ 夢をつかむよ I LOVE YOU
12 本田が 新たに移籍スタート 俺らも受験モードに 移籍する
13 青春搔き鳴らせ デンデケデケデケ 響け 観一の心意気
14 ゆったり 午後過ごすプレミアムフライデー 俺ら受験生 ノーホリデー
15 早稲田大学 やっぱり強い 赤本見た俺は KOだ
16 EU離脱で 浮かれるイギリス 俺も抜けるぞ 受験組
17 日本の各地で ゲリラ豪雨 取水制限 香川では
18 暑さに負けず 模試にも負けず 夏を乗り越え 花咲かせ
19 夏の夜には 花火が上がる 俺も上げるぞ 偏差値を
20 志望大学 意図して挑む 手繰り寄せるぜ 着実に
21 部活青春で 幾月過ごす 後は受験に 身を注ぐ
22 まだかと 期待の新体育館 卒業一号 もらったぞー
23 どーせやるなら デッカイ事やろうぜ 観一全員 合格だ
24 観一名物 数々あれど 男デカンショ 日本一
2018年の丹波篠山デカンショ祭
一方、こちらは丹波篠山デカンショ祭の様子です。歌う人は、やぐらの上のデカンショ保存会のみなさんだけで、踊る方は、何も歌わないかまたは掛け声をかける程度です。服装も踊りも、観一祭のデカンショ節とは全く違うことがわかると思います。
丹波篠山のデカンショ節は、毎年歌詞が公募されていて新しい歌が生まれています。丹波篠山市外からの歌詞にも「ゆかりの町賞」として賞が授与されていますので、新しい丹波篠山デカンショ節に、観音寺高等学校生や卒業生の方が作った歌詞が選ばれると面白いですね。
