ただの陶磁器ではない!日本遺産に認定された日本六古窯について分かりやすく説明しますの巻

sixancientkilns こと

日本六古窯とは?

 日本六古窯とは、日本古来から続く6つの陶磁器の窯の総称です。その6つの窯とは、瀬戸焼、常滑焼(とこなめやき)、信楽焼(しがらきやき)、越前焼、丹波焼、備前焼のことです。日本国内には、非常にたくさんの陶磁器の窯がありますが、これらは中世(鎌倉時代〜室町時代)から現在まで生産が続けられており、日本古来から続く代表的な窯として、昭和23年ごろに古陶磁研究家の小山冨士夫さんにより名付けられました。
 鎌倉時代や室町時代あたりから、窯の火を絶やさずにずっと陶芸を作り続けられて来たことは、奇跡的と言って良いかもしれません。それが、日本国内に6つもあるのですから、焼き物って奥が深いですね。

 ちなみに有田焼や、九谷焼、萩焼などは江戸時代(1600年前半)から始まったとされており、これらも約400年ほどの歴史があります。

それぞれの窯の特徴

 日本六古窯の各窯には、それぞれ特徴的な技法や様式があります。例えば、瀬戸焼は鉄釉(てつゆう)や赤絵(あかえ)が特徴で、常滑焼は灰釉(はいゆう)と呼ばれる独特の釉薬を使用しています。信楽焼は風合い豊かな赤土や竹灰を使い、焼成後の表面に模様が浮かび上がる特徴があります。越前焼は美しい釉薬の重ね塗りが特徴的で、丹波焼は青磁釉(せいじゆう)と呼ばれる独特の釉薬を使っています。備前焼は素朴な風合いと力強い形状が特徴で、鉄釉や赤釉が用いられています。

 これらの窯は、地域ごとに豊かな自然環境や地元の素材を活かしながら、伝統的な製法と技術を守り続けています。そのため、窯元や職人たちは数百年にわたる伝統を守りながら、現代のニーズに合った新しい作品も生み出しています。

 また、日本六古窯の周辺地域では陶器まつりや工房見学などのイベントも行われており、訪れた人々が窯元や作品に触れる機会を提供しています。これらのイベントに参加することで、さまざまな窯元の作品を一度に見ることができるだけでなく、掘り出し物や限定品などの特別な出会いも楽しむことができます。

 日本六古窯の魅力は、単に美しい作品だけではありません。それぞれの窯は、地域の風土や歴史、人々の生活と深く結びついています。窯元や職人たちは、世代を超えて受け継がれる技術や知識を大切にしながら、日々の制作活動に取り組んでいます。

 これらの窯元や職人たちを訪れると、作品の製作過程を間近で見ることができます。粘土のこねられる音やろくろを回す手の動き、釉薬がかかる瞬間の神秘的な変化など、陶芸の工程には無限の魅力が詰まっています。また、窯元の工房やギャラリーでは、作品の展示や販売が行われており、自分のお気に入りの一品を見つける喜びも味わえます。

 さらに、日本六古窯の周辺地域には、陶芸に関連した観光スポットや施設も多く存在します。たとえば、窯元の近くには歴史的な窯跡や陶芸美術館があり、過去の作品や資料を通じてその歴史を学ぶことができます。また、陶芸体験プログラムや陶磁器の展示イベントも開催されており、自分自身で陶芸に挑戦したり、多彩な作品を楽しむことができます。

 さらに、日本六古窯の陶磁器は、日常の食卓やインテリアに彩りを添えるだけでなく、贈り物としても人気です。結婚や新築祝い、お祝い事などの特別な場面で、日本六古窯の作品を贈ることは、受け取る人にとっても心温まる思い出となることでしょう。

 日本六古窯は、単なる陶磁器の窯ではなく、日本の歴史や文化、伝統技術の結晶です。その美しさと魅力は、国内外から多くの人々を魅了しています。ぜひ、日本六古窯を訪れて、その深い魅力に触れてみてください

日本遺産に認定されました

 2017年に日本六古窯は文化庁より日本遺産に認定されました。日本遺産とは、文化庁が有形無形の文化財による地域の活性化すること目的として2015年にスタートをした制度です。文化や伝統を語るストーリーを「日本遺産」として認定し、2020年のオリンピックまでに全国で100件を認定する予定です。「ストーリー」というのが少し分かりにくいですが、その地域の「物語」を認定するということです。例えば、岡山県が日本遺産になるのではなく、岡山県の「桃太郎物語」が日本遺産に認定された、といえば少し分かりやすいかも知れません。

日本遺産について詳しくはこちら

日本遺産認定ストーリー「きっと恋する六古窯」

日本六古窯は「きっと恋する六古窯 -日本生まれ日本育ちのやきもの産地-」という題名のストーリーで日本遺産に認定されました。
ストーリーの概要は、、、

瀬戸、越前、常滑、信楽、丹波、備前のやきものは「日本六古窯」と呼ばれ、
縄文から続いた世界に誇る日本古来の技術を継承している、
日本生まれ日本育ちの、生粋のやきもの産地である。
中世から今も連綿とやきものづくりが続くまちは、
丘陵地に残る大小様々の窯跡や工房へ続く細い坂道が
迷路のように入り組んでいる。
恋しい人を探すように
煙突の煙を目印に陶片や窯道具を利用した塀沿いに進めば、
「わび・さび」の世界へと自然と誘い込まれ、
時空を超えてセピア調の日本の原風景に出合うことができる。

 きっと恋する、というタイトルは少しクサいような、青春のような恥ずかしいような感じもありますが的を得ているとも思います。このストーリーの中の「恋しい人を探すように」というフレーズの通り、器との出会いは一期一会であり、一目見た器や陶芸に恋に落ちる瞬間は確かにあると思います。

 まだそう言った経験をされていない方は、産地に足を運んで、ぜひ目で見て手で触って器を選んでみてください。特に、各地で実施されている陶器まつりに行くと、産地のお皿が一堂に会して見られたり、掘り出しものに出会えたりと、たくさんの「出会い」に興奮間違いなしだと思いますよ。


六古窯の陶器まつり一覧

  • 兵庫県丹波篠山市 丹波焼陶器まつり 毎年10月中旬に開催 https://tanbayaki.com/
  • 兵庫県丹波篠山市 丹波焼春ものがたり 毎年5月上旬に開催 https://tanbayaki.com/
  • 愛知県瀬戸市 せともの祭 毎年9月第2土曜・日曜に開催
  • 愛知県常滑市 常滑焼まつり毎年10月中旬の2日間開催
  • 滋賀県甲賀市 信楽陶器まつり毎年10月の体育の日を含む3連休に開催
  • 岡山県備前市 備前焼まつり毎年10月第3土曜・日曜に開催
  • 福井県越前町 越前陶芸まつり 5月下旬
毎年10月中旬に開催される丹波焼陶器まつりは、黒枝豆の旬の時期でもあり、大賑わい

六古窯の覚え方

 六古窯の覚え方は、は「せとしえたび」(せ: 瀬戸焼、と:常滑焼、し:信楽焼、え:越前焼、た:丹波焼、び:備前焼)と語呂あわせで覚えると覚えやすいです。と言っても、テストには出ないかもしれませんが、覚えやすいので覚えてみてください。

きっと恋する六古窯 関連情報サイト

六古窯の紹介サイト https://sixancientkilns.jp/
丹波焼:兵庫県丹波篠山市今田町 http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/kanko/sightseeing/6364-1.html

丹波焼について詳しくはこちら

瀬戸焼:愛知県瀬戸市  http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2017042500038/
信楽焼:滋賀県甲賀市 http://www.city.koka.lg.jp/10951.htm
越前焼:福井県丹生郡越前町 http://www.town.echizen.fukui.jp/kurashi/08/02/p005089.html
常滑焼:愛知県常滑市 http://www.city.tokoname.aichi.jp/shisei/guide/1002697/index.html
備前焼:岡山県備前市伊部 http://www.city.bizen.okayama.jp/busyo/sityousitu/city/sekainihonisan/japanheritege_2.html

コメント

  1. 田辺弘子 より:

    はじめまして。56歳無職女です。4人の子育てが終わり自分を楽しんでいる中で、「六古窯」に出会いました。初心者ですが学んでいこうと思います。

    • hitotokoto より:

      コメントどうもありがとうございます。一口に六古窯といっても、それぞれ全く違う魅力がありますし、丹波焼ひとつをとっても作家さんによって全く趣も違いますね!初心者も玄人も関係ないと思いますので、奥深い器の魅力をぜひ楽しんでください!